新しいVOCALOID?VOCALOID β-STUDIOまとめ

2023/08/23
2024/07/19
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(追記)2024年3月31日をもってVOCALOID β-STUDIOの取り組みはクローズとなりました。

(追記)VX-βプラグインはVOCALOID6に付属されることが決まりました。

音声合成ソフトウェア「VOCALOID」に関連するプロジェクト、VOCALOID β-STUDIOについて、続々と情報が解禁されました。
この記事では今まで公開されたVOCALOID β-STUDIOに関する情報をまとめていきます。

VOCALOID β-STUDIOまとめ

  • 試作のDAWプラグインVX-βを抽選で無償で配布
  • VX-βパラメータの概念が進化、さらにリアルタイムレンダリングが可能
  • CubaseであればDAWのピアノロール上で調整が完結

VOCALOID β-STUDIOについて

コンセプト

2023年08月23日、ヤマハ株式会社からVOCALOID β-STUDIOのコンセプト動画が発表されました。

動画の中でVOCALOID β-STUDIOについて、

ヤマハが期間限定で設立した「研究スタジオ」です。

と説明しており、現段階では今までのようなVOCALOID製品とは異なり、長期的な観点で合成音声ソフトの検証や実験を行っていく場として立ち上げたプロジェクトのようです。

立ち上げに関わった方々

また、公式サイトのSpecial Thanks にはプロジェクトの立ち上げに至るまでに関わった方の名前が列挙されています。

VOCALOIDの調整に定評のあるMitchie Mさんや傘村トータさん、ボカロPとして有名なsasakure.UKさんや稲葉曇さん、ポルノグラフィティ等を手掛ける作曲家の本間昭光さん等の名前があがっています。
様々な方面の方の協力の元で開発が進められていることが伺えます。

VX-βについて

VOCALOID β-STUDIOの中で開発されたのがVX-βです。

VX-βはVST3,AU形式のためDAWに読み込んで使用します。

後述しますが、Cubaseの場合はCubase上のピアノロールで完結できる一方で、他のDAWの場合はシーケンスファイルをロードして使います

Cubase以外のDAWでどこまで操作できるかが不明なため、Cubase以外のDAWを使用している場合は注意が必要です。

新しいVOCALOIDはどんな声?

新しいVOCALOIDが出たときに気になるのはやはり歌声です。

現時点では以下の2つの試聴動画が公開されています。

第一印象はとしては人間味がある歌い方だと感じました。

今までのVOCALOIDもAI機能を搭載していましたが、他の合成音声ライブラリに比べると過去のVOCALOIDのイメージを壊さない範囲で調整している印象でした。

しかし、今回の試聴動画では音程や強弱のゆらぎが強く、声質に関しても機械っぽさが少ないです。
過去のVOCALOIDとは調整の方針が異なるように感じました。

コンセプト動画の中でも「実験1.ディレクションのような操作感」というコンセプトがあるところをみると、実際にレコーディングで人をディレクションするようなイメージのソフトウェアを目指しているのかもしれませんね。

VX-βの特徴

パラメータの概念が進化

VX-βのUI上で一番大きなノブであるPowerを操作すると、単純な音量ではなく、音色やピッチの挙動も含めた歌声の強弱感が変化するようです。

過去のVOCALOIDの調整では「力強く歌わせたい」、となったときには音量・ピッチ・声質のパラメータをそれぞれ変更する必要がありました
それがひとつのノブを操作するだけでそれぞれのパラメータがうまい具合に変化してくれるのであれば、調整作業の効率・概念が大きく変わるかもしれません。

リアルタイムレンダリング

VX-βでは再生しながらツマミを動かしてもリアルタイムで歌声に変化が起きていることが確認できます。

今までの合成音声ではパラメータを変更するとレンダリング処理は走り、処理が完了するまでは再生が反映されない仕様でした。
リアルタイムでパラメータが変更できるので調整の試行錯誤が格段に楽になりますし。大幅に打ち込みの時間を減らせるかもしれません。

Cubaseとの連携

VX-βはVOCALOID用のエディターが存在せず、全てCubaseのピアノロール上で調整を完結させることができるようです。

上記の動画の中では、ノートの他にCubase上で設定したオートメーションが歌声に反映されていることが確認できます。

専用のエディターが存在する場合、DAWとエディターで微妙に操作やショートカットが異なり扱うそれぞれの操作方法をするのが面倒でした。
VX-βがCubaseで調整を完結できるのであれば単純に時短にもなりますし、VOCALOIDを扱ったことがない方もスムーズに操作に慣れることができるので良さそうです。

多様なボイスバンク

VX-β Version 1.0では9つのボイスバンクを備えています。

2023/9/26に公開されたバージョンver.1.1でボイスバンクが追加され、計13のボイスバンクが使用できるようになりました。

VX-β 専用ボイスバンク一覧

動画の中では

いままで製品化されなかったような様々な声質を揃え、音楽の可能性を探求します。

という記載がある通り、広い声色のバンクが用意されているようです。

また、以下に気になる記載がありました。

ボイスバンクの一つ、multiβ-Nは、一つのボイスバンク内に17人の歌手が含まれており、パラメーターで切り替えながらの使用ができるとのことです。
過去のVOCALOID製品でも複数の歌声ライブラリを滑らかにブレンドするクロスシンセシスという機能がありましたが、それは同一の歌手内だけでした。

今回は別の歌手、しかも17人ものデータを切り替えながら使用することができるということで、どのような音声になるのか気になるところです。

VX-βの入手方法

(追記)2024年3月7日をもって抽選による配布は終了しました。

VOCALOID β-STUDIOではクリエイターの募集を開始しました。

VX-βはVOCALOID β-STUDIOへの参加申し込みをして、抽選に当選された方アンケートの回答を元に決定された当選者の方に無償で配布されるようです。

また、参加申し込み時のアンケートには

  • VOCALOID β-STUDIO に参加したいと思ったポイントは何ですか?
  • ご自身の作品投稿アカウントがあれば、URLをご記入ください。

といった項目があるため、より熱量を持ったユーザやVOCALOIDを今まで使ったことがある方は抽選とは別に優先して当選とするのかもしれません。

VX-βの利用規約には「Google Analytics による操作情報の収集」について記載があるため、ユーザの操作を今後の開発に活かしていくものだと思われます。
新しいVOCALOIDの発展に協力したい方はぜひ応募するといいでしょう。

VX-βの利用規約

配布されたDAWプラグインVX-βは期間限定で動作するようになっており、2024年4月1日以降、使用できなくなるとのことです。

VX-βを使って制作していただいた楽曲の公開については、各ボイスバンクのキャラクター利用規約の範囲内であれば自由とのことです。

また、ボイスバンクによっては商用利用も可能とのことです。
VX-βを使用した楽曲を公開される場合は利用規約をよく読んだ上で投稿しましょう。

今後の展開

VX-βプラグインは、VOCALOID6に無料で付属することが決定しました。

現在VOCALOID6を使用されているユーザーにも、配布予定とのことです。
付属開始時期や配布方法は現時点では不明のため、分かりましたら追記します。

まとめ

この記事では今まで公開されたVOCALOID β-STUDIOに関する情報をまとめました。

クリエイター募集では既に有名なボカロPの方も応募しているのを見かけたので、どのような歌声が聞けるようになるのか非常に楽しみですね。

また、新しい情報が公開されましたら記事を更新していく予定です。

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あっしゅからー

フリーランスでWebシステムエンジニアをやっています。

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