Synthesizer V 2情報まとめ 新機能や価格、互換性について解説【3月21日発売】
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目次
はじめに
歌声合成ソフトウェア「Synthesizer V」の新バージョンである、「Synthesizer V 2」が3月21日に発売されることが決まりました。
この記事では、Synthesizer V 2の新機能や価格、互換性などの情報をまとめます。
改善点・新機能
Synthesizer V Studio 2の改善点・新機能についてまとめます。
歌声生成速度の改善
Synthesizer V 2では、歌声の生成速度が改善されました。
現行のSynthesizer Vに比べると、なんと 300% 早くなったとのことです。
現行のSynthesizer Vの歌声生成は少し時間がかかります。
1つのノートの音程を変更しただけでも、少し待たないと再生できませんでした。
Synthesizer V 2では、ノートの編集後に再生できるまでの時間が短くなりました。
また、再生中にパラメータを変更しても歌声が途切れることなく、すぐに変更内容が反映されています。
以下の動画で歌声生成速度の速さが確認できます。
AIによる生成ということで、生成時間がある程度かかることは仕方のないものだと思っていたので、ここまでの改善があるのは驚きました。
新しいボーカルスタイルの機能
ボーカルスタイルは、シンガーの歌声にバリエーションを持たせる機能です。
Synthesizer V 2では、各ボーカルスタイルに対して「ピッチ」「声色」「発音」のパラメータが加わり、ボーカルスタイルごとにそれぞれのパラメータをどのくらい適用するかを調整できるようになりました。
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ボーカルスタイルパネル
以下の動画で実際にパラメータを変更しているところを確認できます。
例えば、音程はClearのボーカルスタイル、発音はSoftボーカルスタイルを適用するといった、細かな歌声のスタイルの調整ができます。
試行錯誤しながらより好みな歌声を生成できるようになりそうです。
AIリテイク機能の改善
AIリテイクは、AIの技術を用いて異なる歌い方を生成できる機能です。
現行のSynthesizer Vの場合、AIリテイクできるのは「ピッチ」と「声色」のみでした。
Synthesizer V 2では新たに「タイミング」も生成できるようになりました。
UIは大きく変更になり全てのパラメータに対して一括でリテイクを生成できるようになりました。
ボタンも大きくなり、使い勝手が向上しています。
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AIリテイクパネル
AIリテイク生成時のパラメータは、XYパッドのようなもので「Vibrant」「Refined」「Stable」「Raw」をコントロールできるようになりました。
無難なテイクを生成したい場合は「Stable」、思い切った変化をさせたい場合は「Raw」に近づけるなど、ニュアンスの違いを加えたテイクを生成できます。
以下の動画でAIリテイクを使用しているところを確認できます。
生成速度の改善とAIリテイクの機能の改善により、AIリテイクの生成↔確認を素早くできます。
良いリテイクを生成する作業の効率が大幅に上がりそうです。
音素パネル
現行のSynthesizer Vの場合、発音タイミングはノートを選択したあとに発音記号の長さを割合で指定する必要があり、直感的な調整ができませんでした。
Synthesizer V 2では、画面下部に音素パネルが表示されるようになり、音素のタイミングと音量をドラッグするだけで調整できるようになりました。
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音素パネル
以下の動画で音素の調整をしているところを確認できます。
音素の発音タイミングと音量は変更する機会が多いため、作業の効率が上がりそうです。
スマートピッチコントロール
現行のSynthesizer Vの場合、ピッチ関係のパラメータは「ピッチ推移:長さ - 左」や「ビブラート:ゆらぎ」など、どのような変化が起きるのか分からないものが多くありました。
Synthesizer V 2では、ピアノロール上にピッチ制御点を追加でき、制御点を通るピッチカーブが自動生成されるようになります。
ピッチ制御点をドラッグすると生成されたピッチカーブがリアルタイムで表示されるため、再生せずにどのようなピッチになるか知ることができます。
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スマートピッチコントロール
以下の動画でスマートピッチコントロールを使用しているところを確認できます。
この機能により、しゃくり・ドロップ・ビブラート等のあらゆるピッチ制御がピアノロール上で簡単に制御できるようになります。
マウスオープニングパラメータ
Synthesizer V 2では、新たにマウスオープニングパラメータが追加されました。
マウスオープニングパラメータを使用すると、口の開き具合を調整できます。
以下の動画でマウスオープニングパラメータを使用しているところを確認できます。
マウスオープニングパラメータによる変化は大きくはないですが、微細な表現をしたい場合に有効そうです。
韓国語対応
現行のSynthesizer Vは収録言語に関わらず、英語・日本語・中国語・スペイン語・広東語での歌唱が可能でした。
Synthesizer V 2では上記に加えて、韓国語での歌唱が可能となりました。
価格
エディタ(Synthesizer V Studio 2 Pro)と歌声データベースの価格は以下の通りです。
※AHSストアでの価格
スターターパックは好みの歌声データベースを1つダウンロードできるクーポンコードが付属している、お得なパッケージです。
製品 | 形態 | 定価(税込) |
---|---|---|
エディタのみ | パッケージ | 16,500円 |
エディタのみ | ダウンロード | 13,200円 |
エディタのみ アップグレード版 | ダウンロード | 7,700円 |
エディタのみ 期間限定アップグレード版 | ダウンロード | 5,500円 |
スターターパック | パッケージ | 22,000円 |
歌声データベース | パッケージ | 10,780円 |
歌声データベース | ダウンロード | 9,680円 |
現行のSynthesizer Vと比べると、エディタは値上がり、歌声データベースは据え置きとなっています。
アップグレード版
アップグレード版は「Synthesizer V Studio Pro」ユーザーが購入できます。
4月20日までは期間限定アップグレード版が販売され、さらにお得に購入できるようです。
詳しくはAHSのプレスリリースをご覧ください。
互換性
Synthesizer Vと Synthesizer V 2の互換性は以下の通りです。
Synthesizer V Studio 2 Pro | Synthesizer V Studio | |
---|---|---|
SV2 歌声DB | ◎ | △ SV1エディタ互換版があれば使用可能 |
SV1 歌声DB | △ SV2エディタ互換版があれば使用可能 一部の新機能はサポート対象外 | ◯ |
エディタと歌声データベースのバージョンが異なる場合そのままでは使用できませんが、互換版が提供されれば使用できるようになります。
Synthesizer V Studio 2 Proに対応する互換版SV1歌声データベースは、基本的には各販売元から提供されるようです。
ただし、互換版ではSynthesizer V 2からの新機能は利用できません。
サポート状況は以下の通りです。
SV2エディタ互換版のSV1 歌声DB使用時のサポート状況
機能 | サポート状況 |
---|---|
品質とレンダリング速度の向上 | 中程度の改善 |
ボーカルスタイル | 声色のみ ピッチ/発発音は使用不可 |
音素タイミングパネル | 音素のタイミングと強さのみ 詳細な子音のタイミングは使用不可 |
表現コントロール機能 | 効果が限定的 |
AI リテイク機能 | 音色リテイクのみ タイミングのリテイクは不可 |
スマートピッチコントロール | コントロールポイントは使用不可 ユーザーが描いたカーブは上書きのみ |
「マウスオープニング」パラメータ | × |
多言語合成機能:韓国語 | × |
歌声データベース
Synthesizer V Studio 2 Proに付属する歌声データベース
Synthesizer V Studio Proでは、無料の歌声データベースとしてMaiが付属していました。
Synthesizer V Studio 2 Proでは、Mai(収録言語:日本語)・Mo Xu(収録言語:中国語)・Liam(収録言語:英語)の中から1つ選んで無料で使うことができます。
新発売の歌声データベース
Synthesizer V Studio 2の発売と同日に、miki・氷山キヨテル・宮舞モカが販売されます。
また、全てのDreamtonicsオリジナル歌声データベースのバージョン2も同時に発売予定です。
3月28日には夢ノ結唱PASTEL/HALO、4月25日には夢ノ結唱PASTEL/HALOのSynthesizer V 2対応版が発売されます。
まとめ
この記事では、Synthesizer V Studio 2の情報をまとめました。
機能面・UI面ともに大きく進化しており、好みの歌声をより効率よく制作できそうだと感じました。
今から発売が待ち遠しいです。